事象や感情を別のものに「例える」と会話の質が高まる

コーチング、コンサルティング、ファシリテーションのときに限らず、日常会話の中でもよく「例え」を使います。

どんなときに例えを使っているかなと考えてみると、

・自分に起きたこと、または相手に起きたことの大きさや凄さ(インパクト)をお互いが実感できるようにしたいとき
・相手に何かを教えるにあたり、自分の肌感覚を表現したいとき
・相手が考え中のところで視点や思考をガラッと動かしたいとき

おもにこの3つです。

相手の話を聞いているとき。
相手は自分自身に起きたことだから五感で体験している。
なので、もちろんそのときの状態がはっきりと分かっているけど、話を聞いている側(わたし)がその状態を体感することは難しい。
できるだけ相手になりきって、その時の状況を想像してみようとするが、どうしてもその人が感じたそのものに浸るのは難しい。

自分と相手を逆にしても然り。

お互いの頭の中にある思考・行動・感情のイメージをできるだけ同じものでシェアしたい。
そのときに使うのが、「例え」。
事象そのまんまを表現するのではなく、まったく別のものに置き換えて話すということ。

「野球に例えると・・・」
「恋愛に例えると・・・」
などなど。

この例えるものは、自分が体験していて肌感覚でわかるものであることが大事。
そもそも自分に感覚がないものだと表現の置き換えができないから。

また、できるだけ相手も知っているものであることも大事。
さきほど挙げた例であれば、野球を知らない人に野球で例えても、野球を知らないから肌感覚が伝わらないということになります。

例えば、
部下が営業先で「全然買う気のないお客様へ必死に製品をアピール(お客様は商談を終わらせたがっている)」していたことを、営業後にフィードバックするとき。

「お客様、今日は全然買う気がないけど気づいた?あまりに押し続けているから帰りたそうにしていたよ。
あの売り方を続けているとお客様は離れていっちゃうなぁ」
とフィードバックすると思いますが、営業の感覚的なところなのでどこまで部下に伝わっているかわかりません。

そこで、↑のフィードバックをしたあとに
「例えるなら、好きな人をデートに誘いたいのに、彼女の行きたくなさそうな場所を、気づかずにひたすら押し続けている状況だよ。
毎度こんな風にされたら、自分の好きな人はどう感じると思う?」
といった風に、例えを入れてみる。

こうすることで、
「そうですね…相手は自分のことキライになりますよね。」
と、自分ごととして感じられるので、
「じゃあ、どうすれば相手が自分のことを好きになるかね。」
「うーん、まずは・・・」
こんな風に話を進めていけるようになります。

お互いが知っている「何か」で「例え」ることができると、

「あー、そういう感じね!」
「なるほど、それは確かに凄いね(ヤバいね、マズイね、痛いね、など)」

という風に、お互いが同じ絵を描くことができる。

コロナ禍でリモートワークが推奨され、今まで対面で顔の表情や全身のしぐさ、その場の空気の揺れなどから受け取れていた情報が、画面を通して遮断されてしまった。
WEB会議やチャットでのコミュニケーションに変わり、音声と文字でのやり取りが多くを占めるようになり、お互いの頭の中にあるイメージを伝え合うことが難しい環境になっているように感じます。
だからこそ、「例え」を活用して認識を合わせて話していくことがとても有用だと思います。

また、もうひとつのメリットとして。
例え話は、その場にいる人達の視点を強制的に変えるので、そこから新しい考え方やアイデアが生まれて生産性が高まることがあります。

この「例え」をどう身につけていくか?になりますが、一朝一夕ではいかないのでコツコツやり続けるしかない。

とにかくことあるごとに、強引にでも「例え」を使ってみる。
「例えが下手!」
とフィードバックを受けるかも知れないが、練習だと思ってやり続ける。

そうすると、段々と「自分なりの例え方=例えるときに自分が良く使うもの」がわかってくるので、それが掴めてきたら何度も使って磨きをかけていく。

仮に例えることに失敗しても、その突拍子もない発言は場において強いインパクトになっているので、場の視点や空気が変わり新しい考え(アイデア)が浮かぶきっかけになる。

なので、
「自分は例えが下手だから・・・」
「そもそも、話し下手だから、例えなんてうまく出来ないです・・・」
「例えが上手い人って、頭の中はどうなっているんだろう・・・自分には無理」
なんて弱気に考える必要はなし!

私もよく「例え」を使うと冒頭で言いましたが、しょっちゅうスベってます。
「えー、何言ってるかわかりません」
「逆にもっとわからなくなりました」
なんて言われることは、良くあります。

が、ありがたいフィードバックだと受け取って、めげずに磨き続けている次第。笑

ですので、ポジティブな取り組みと捉えて、ものごとを別の何かに例えるということを日々試していってほしいと思います。

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この記事を書いた人

組織の再生士 / アーティストを育てるアーティスト

ロボットベンチャー企業で組織作りを担いつつ、地域おこし・地域コミュニティの活性化を行っています。