6月19日㈯は、上野原市秋山にあるCoToLiの森で「大地の再生活動」を行っていました。
2月に事務局として参画してからはや4ヶ月。ここでのイベントも3回目となり、告知と集客から当日の運営までだいぶスムーズに進められるようになったと思います。
今回は、山の裾野を「風の草刈り」という方法で整え、森の中の傷んだ地面を修復するための「水脈と点穴作り」、「土留め作り」の実践。
「風の草刈り」は、草が風でしなる柔らかい部分で刈り取る方法。一般的な草刈りでイメージされる「根こそぎ刈り取る」とはだいぶ毛色が違います。
もし草を「根こそぎ刈り取る」と、草は「自分はこのまま死んでしまう」と考え、生きるために土中へ根を必要以上に伸ばすとのこと。また地面に生えていく部分も、必要以上に葉や茎を増やすので、密集してごわついた生え方になってしまいます。
その草がもつ本来の自然な状態を超え、生き延びるため、必要以上に自分を強く頑丈にしてしまうようです。
これを人に置き換えると、根こそぎ刈り取るのは、「その人を根本から否定する、変えようとする」ことに近いかも。
当人としては人格・存在を否定されることになるので、生存本能が呼び起こされ強い抵抗を示すはず。人間関係において心を開くことはなくなり、会話もままならなくなるのでは。
当人の今後のため、何か変えてほしいことがあったら、頭ごなしに否定して強引に改善させようとするのではなく、その人の変化スピードに合わせて改善を促していくことが、長期的に見たら成長(進化)になるんじゃないかと、思った次第。
そしてもうひとつ・ふたつの実践は「水脈と点穴作り」と「土留め作り」。
溝を掘って土中の空気が抜けるようにして、そこに枝木や落ち葉を絡ませるように詰めていきます。ただ重ねていくのではなく、大小の枝木と落ち葉がお互いに絡んでいくように、編み込んでいく感じ。大地の再生では、柵(しがらみ)と言ってます。
枝木や葉をしがらませることで、互いが補い合い、簡単には崩れない状態が作られます。
こうして、雨が降って地面を流れ落ちる土を受け止め、フィルターとなり水だけが下へ下へ流れていく。そして受け止められた土は、そこで枝木や落ち葉と有機的に反応し、周囲の草木の栄養となる。この場所に向け、草木が根を伸ばしていき、土中に健康な根が張り巡らされて上部になっていく。
こんな循環が生まれていくのですが、2月から作業を続けつつも、参加している誰に聞いても「目に見えた変化は感じない」という感想。
だけど、良くよく作業をした場所を見てみると、そこに生えていた苔の種類が変わっていたり、土留めが雨で流れ落ちてくる土をちゃんと受け止めていたり、小さな草が生え始めていたりする。とても小さな変化だけど、以前はなかったもの。だから、当時と比べて間違いなく変化は起きている。
大地の再生の現場では、重機や大きな道具・資材を使って、大規模かつ劇的にその場を変化することはできるようです。しかし、今までの自然の状態に大きく手を入れるということは、自然の反動も大きく、ときに障害を起こすこともあるとのこと。
また、いきなり変化したその場を、その状態で維持していくことに対しても人手がかかるので、全体の流れの中で自然にシフトしていったものではない。なので、ちょっと気を抜いてしまうと、改善する前の状態へ戻りやすい。
そのため、できるだけ自然本来の変化スピードに合わせて、小さな作業を重ね、小さな変化を積み上げていく。これが自然であり、こうして積み上げられていった変化は持続的で、健康な状態が循環していくようになるとのこと。
これも人や組織に置き換えれば、強力なカリスマ性やリーダーシップを持つ人が突如現れ、一気にパワーを使って組織を変えていくよりも、その組織の状態に応じて小さな変化を積み上げていった方が、持続的で強い組織になるということだなと思いました。
強いリーダーが急激に変えた組織は、確かに短期的に結果が出るかも知れないが、そのリーダーがいなくなったあとも維持されていることはあまりないように感じます。
本当に必要なのは、リーダー1人のパワーに依存することなく、組織としてパワーが保たれ、かつ持続的に成長していく状態を作ること。人も自然から生まれた生き物であり、根本的には自然と同じ。そう考えると、小さな改善と小さな変化をコツコツと積み上げていくことが、人にとって自然な状態であり、こうして積み上げた変化は、継続的で強くて頑丈なものとなる。そう実感しました。
一方で、組織として短期的な結果を求められるところがあるかも知れない。
そこは柵(しがらみ)の考え方で、既に健康的で強い組織(チーム)が補ってあげればいいんじゃないかと。こうした補い合いは、徳を循環させるので、あとで必ず還ってくると思います。