言葉の裏側(背景)を聴いてニーズを読み取る

カスタマーセンターへお問い合わせメールが来ました。

シンプルに用件のみ、

「1年間の契約期間を一括注文・支払いにして、契約期間終わったら解約しようと思います。そのあと、もう1度契約し直して良いですか?」

とのこと。

このお問い合わせを受けたオペレータからは、

「サービス規約上、解約は可能なので”解約できます”ということと、”(前回契約内容を反映させた)再契約はできないので、新規の契約になります”という風に答えればよいですかね?」

と相談を受け、一旦は私も

「それでいこうか」

と思いましたが、ふと

「ん?ちょっと待てよ?」

という直感(というか、違和感に近いもの)が働きました。

「どうしてこのお客様は、このような問い合わせをしてきたのだろうか?」

そこで、先ほど考えた内容をいきなり回答することは止めて、

「解約は可能ですが、どのような用途をお考えですか?」

と、一度お返事&問いかけてみたところ

「会社の経費(年度の予算)で購入するためには、1年分一括払いである必要がある。継続して使いたいが、そうすると翌年分は改めて1年分の請求書が必要だから」

とのことでした。

もし、この問いかけをせず前述の回答をそのまましていたら、私たちにとってこのお客様は

「とりあえず1年試しに使ってみて都合よく解約。その後、また使う気になれば契約(しかも前回利用の履歴も反映させて)、不要になれば解約を繰り返す一風変わった方」

というような印象になっていました。

おそらくお客様にしても

「できる、できないだけをテンプレで答えて来たイケてない会社」

という印象を持たれて終了。今後も利用見込みなし。という後味の悪い関係性になっていたと思います。

今回は幸い、お客様へ質問させていただいたことでニーズが分かり対処することができました。

”相手の言葉(今回だと質問)には、必ずそれを発しようとした意図(理由・背景)が存在し、その意図をくみ取らないと対応を見誤る”
ということを学べた良いケースです。

ふと、ソリューションセールスをしていた頃にメンバーへ話していた「八百屋のトマト」の話も思い出しました。

~~~~~~~

お客様が「トマトが欲しいんですけど…」と八百屋に来た。

店員は

「わかりました!トマトならこのミニトマトと、この獲れたて新鮮で大きなトマトがありますよ!どちらにしましょう?」

と答えたが、何となくお客様の表情は浮かばず…

それを見た店長が

「ちなみにトマトをどうされるんですか?」

と聞いてみたら、

「友人が遊びに来るのでトマトベースのパスタでも作ろうかなと思って…」

とのこと。

それを聞いた店長、

「それならトマトじゃなくて、このトマトのホール缶詰の方がよいですよ。既に煮てあるから崩しやすいし味付けもしやすい。大人数のパスタ作るならこちらが手軽ですよ」

と提案したところ、お客様の表情がパッと晴れて、大満足でトマトのホール缶を購入。

ついでに、これからスーパーで買う予定だったサラダ用の野菜も、値段は高いけどそこの八百屋で買っていった。

~~~~~~~おしまい

今回、八百屋は”売る”行為についてのお話でしたが、営業もカスタマーセンターも、お客様と接する役割をもつところは同じです。

お客様の問い合わせに素早くお応えすることも大事ですが、問い合わせへ瞬間的に反応して答えを出すところを一旦立ち止まって、

「今回はどうしてこのような質問をしてきたのかな…」と、その言葉の裏側(背景・意図)へ意識を向けてみる。

そして尋ねてみると、お客様の本当に解決したいニーズが浮き彫りになり、解決した時の満足度が高まります。

「毎回なんてやってられないし、サクッと答えちゃえばいいじゃん!他のお客様対応もあるんだし…」

という気持ちが湧いてしまうのは、人間ならあることだと思います。

それでも、この言葉の裏側へ意識を向けることを、ひとつひとつ時間と手間がかかってもコツコツ続けていくこと。

この継続が、相手のニーズ(心)を拾える人間力へ昇華すると、私は思っています。

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この記事を届けた人

組織の再生士 / アーティストを育てるアーティスト

ロボットベンチャー企業で組織作りを担いつつ、地域おこし・地域コミュニティの活性化を行っています。