先日、知人から会社の状況について相談を受けました。
彼の所属する組織では、社員の出入りが激しく、特に優秀な人材がすぐに辞めてしまうという問題に直面しているようです。
その結果、残ったメンバーは現状維持を好む傾向が強く、士気が低いため、組織全体の課題解決が進まないという悩みを抱えていました。
なぜこのような事態が起きているのでしょう?
詳しく話を聞くと、いくつかの根本的な問題が浮き彫りになりました。
上層部は売上と利益に集中し、社員の心身の健康や人材育成に関心を払っていない
経営層が短期的な利益に目を向けるあまり、長期的な視点での組織作りが疎かになっています。
リーダー層が管理職としての経験不足
現場の課長や主任は現場の仕事ができるものの、マネジメントやリーダーシップの経験が少なく、十分な教育やサポートを受けていないため、組織全体をうまくまとめられない状況です。
顧客のニーズよりも社内の都合を優先する風潮
顧客視点が欠け、内部の事情が優先されることで、企業としての信頼を損なう恐れがあります。
社員の不満に対する上層部の対応が不適切
上層部が社員の不満を建設的に受け止めず、むしろ発言を抑制するような脅しを行うケースがあるため、社員のモチベーションが低下しています。
このような状況では、優秀な人材が定着しないのも当然でしょう。
現代では、ただ働くのではなく、自分が成長し、充実感を得られる職場環境を求める人が増えています。
そのため、企業は「人」を第一に考え、社員が心理的な不安やストレスを感じず、強みを活かせる環境を整えることがますます重要になってきています。
人を大切にする組織が求められる理由
人間には得意・不得意があり、特に得意なことを伸ばす方が成長が促進されます。
しかし、不得意な部分を改善する必要がある場面もあるでしょう。
その際は、ただ改善を求めるのではなく、その目的や期待する効果を明確に説明し、納得感を持たせることが重要です。
また、取り組みの過程で小さな進歩をフィードバックすることで、社員が前進している実感を持ち、より意欲的に取り組むことができるでしょう。
このように、強みを活かし、相乗効果を生む組織づくりや人材育成は、これからの時代にますます必要です。
少子高齢化が進む日本では、労働人口が減少していくことが避けられません。
だからこそ、一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すことが、企業の生産性を高め、持続可能な成長を実現する鍵となります。
これからの組織運営の在り方
「我慢して働く」という旧来の価値観は、もはや過去のもの。
これからは、いかにして社員が自分らしく働き、強みを発揮できるかが重要です。
そのためには、社員一人ひとりを大切にし、その成長をサポートする組織づくりが不可欠です。
こうして、一人ひとりのパフォーマンスが最大化されることで、組織全体の生産性が向上し、組織を構成する人数以上の成果が持続的に生み出されるようになるでしょう。
これが、これからの時代に必要な組織運営の形であり、企業の持続的な成長を支える柱となるはずです。