田舎で暮らしていると、人との距離感が自然と近くなるのを感じます。
私の住む町でも、昔からすれ違う人同士が挨拶を交わすのが当たり前でした。
子どもの頃を振り返ると、誰かとすれ違うたびに自然と挨拶をしていましたし、大人たちはその挨拶を通じて、子どもたちのちょっとした変化に気づき、元気かどうかを感じ取っていたのかな、と思うことがあります。
挨拶を交わすことで、お互いに見守り合い、地域全体でのつながりが築かれていたのだと感じます。
さて、先日、地域に住む高校生くらいの女の子とすれ違ったときのことです。
彼女はそのまま素通りしました。
その後にお父さんが続きましたが、やはり挨拶をせずに通り過ぎていきました。
私が「こんにちは」と声をかけると、慌てて挨拶を返してくれましたが、もし私が声をかけなければ、そのまま素通りしていたでしょう。
挨拶という行為は、ただの言葉のやり取りにとどまらず、心を開くための第一歩です。
自ら挨拶をすることで、相手に対して心を開き、関係を築くことができます。
特に、田舎のような小さなコミュニティでは、挨拶を通じてお互いの存在を確認し合うことで、防犯にもつながることがあります。
たとえば、見知らぬ誰か(窃盗を考えている人を想定)が地域に入ってきたとき、一言挨拶を投げ掛けることで、「ここは人の目がある」という牽制になるかもしれません。
挨拶した側も、その人の反応や雰囲気から「何か怪しい」と感じ、すれ違った後もその行動を注意深く見守るなど、警戒心が強まることも考えられます。
もちろん、挨拶をしないことを選ぶ人もいます。
彼らは「自分たちの生活ができればそれでいい」と考えているのかもしれません。
それも一つの考え方ですが、私たちは人とのつながりの中で生きています。
災害やトラブルが起きたとき、助けてくれるのは地域の人々です。
普段から挨拶を交わし合っていれば、いざという時に助け合うことができるでしょう。
学校では挨拶の大切さが教えられていますが、子どもたちが一番長く過ごすのは家庭です。
親の振る舞いを見て、子どもたちは「これでいいんだ」と感じるものです。
たかが挨拶ですが、このシンプルな行為が地域のつながりを保ち、万が一の時の助け合いにつながるのであれば、挨拶をすることは大きなメリットを持つ行動だと言えるでしょう。
私たち親世代が、子どもたちに「挨拶の大切さ」をしっかりと伝えていくことが、人間として豊かな暮らしを持続するために必要なことではないでしょうか。